電線路に負荷を接続し、ケーブルに通電すると、導体抵抗及びリアクタンス、すなわちインピーダンスの影響により、受電端電圧が低くなり、送電端電圧と受電端電圧に差が生じます。
この差を電圧降下といいます。電圧降下は導体サイズが大きい程小さくなります。
内線規程に、低圧配線における電圧降下の許容値が定めており、
電圧降下が許容値に収まるように導体サイズを選定します。
供給変圧器の二次側端子 又は引込線取付点から 最遠端の負荷に至る間 の電線のこう長(m) |
電圧降下(%) | |||||
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電気使用場所内に設けた変圧器から供給する場合 | 電気事業者から低圧で電気の供給を受けている場合 | |||||
幹線 | 分岐回路 | 合計 | 幹線 | 分岐回路 | 合計 | |
60以下 | 3以下 | 2以下 | ― | 2以下 | 2以下 | ― |
120以下 | ― | 5以下 | ― | 4以下 | ||
200以下 | ― | 6以下 | ― | 5以下 | ||
200 超過 | ― | 7以下 | ― | 6以下 |
回路に流れる最大負荷電流よりも、許容電流が大きな導体サイズを選定します。
仮に最大負荷電流よりも許容電流が小さい導体サイズを選定してしまうと、導体には許容電流以上の電流が流れるため、
導体の温度が上昇し絶縁被覆の劣化、溶融が発生し、場合によっては発煙、発火事故につながります。
許容電流値の表はコチラ
導体サイズは、許容電流、電圧降下を検討して選定します。
交流回路における電圧降下の基準となる公式は次式です。
基本式に示すように、交流回路では抵抗以外に、リアクタンスや力率の影響があることがわかります。
ただし、通常屋内配線などで使用されるものについては、リアクタンスを無視し、力率を1と見て差し支えない場合が多く、
その場合は次式が使用されています。
簡略式における電線1mあたりの抵抗Rは、導体の太さによって異なるため、単位断面積(1mm2)あたりの固有抵抗と銅線の導電率より、下記のように置き換えることができます。
標準軟銅の固有抵抗(20℃)=1/58(Ω/m)
銅電線の導電率=97(%)
これより、
抵抗R、および電気方式Kを、簡略式に代入することにより、下記の表に示す電圧降下の簡略式が求められます。
電気方式 | 電圧降下 | 電線の断面積 |
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直流2線式 単線2線式 |
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三相3線式 | ||
直流3線式 単相3線式 三相4線式 |